四万十川 川漁師としての意見 テナガエビ 禁漁措置について。

昨年から高知県はテナガエビ漁に禁漁期間を設けることになりました。テナガエビは漁業権がありません。誰でも捕獲してよい、ということになりますね。
乱獲で減少したんだ。 世間ではもっぱらそういう意見が大多数でした。四万十川に仕掛けがありすぎなんだ。そういう大きい声が多々聞こえてきます。
捕獲すればとった分は減りますから、減少の原因かといわれれば否定はしません。しかし、全長200キロ近くある四万十川からエビを採りつくすことが出来るでしょうか??

私は川漁師として生計を立てています。それは、ここ最後の清流といわれる四万十川でも容易いことではありません。四万十川の本流だけでなく、無数にある支流や小さい川にも行かねばなりません。二日で軽自動車のガソリンが空になるほど走り回る日々だってあります。
ロープを伝って崖を降りていくこともあります。何度か落下もしたりして、かなり危険な部分もあるのです。そうやって努力して、やっと、なんとかやっていけるくらいなのです。

何万回も川底に手を入れて石の隙間や穴を探っているのですから、それがどんどん埋まって変わっていく有様は、普通の人よりは見えてくる部分も多いのかな、と思っています。 

本当にここ数年、川は土砂まみれ。砂が増えました。そして浅くなっているような気がします。私の師匠や大先輩達の川漁師全盛期の時代には、場所により川幅が倍もあったそうです。
水量も多かったんでしょう。水量が多ければ、川は多少の汚れにはびくともせず、むしろプランクトンが増えたり、複雑な流れを作り出し水中の溶存酸素量を増やしたり、魚には好条件な事が多いと思います。

私は、どんどん増え続ける土砂が、川底の石などの隙間を埋めてしまい、尚且つ、川底に堆積して底からの湧き水の働きを弱めてしまうのでは?と危惧しています。

現に、いたるところにシーズンには地元の人が仕掛けを入れているような小河川でも、川底に石がころころしていて砂で住処が埋まっていない場所では、翌年もちゃんと同じにエビが採れるのを私は体験から知っています。
このような小河川での捕獲のプレッシャーから比べたら、四万十川の広大な川での捕獲のプレッシャーはずっと少ないとみています。

乱獲で減った、のもあるかもしれませんが、それよりもずっとずっと河川環境の、生息環境の悪化の方が罪深いのでは? 私はそう考えます。
減ってしまったのに対して禁漁措置をとったことは一定の評価をしたいですが、禁漁の措置をとったのであれば、河川環境の悪化の原因究明を行い、まずはそちらにもメスを入れないといけない。そちらのほうがより複雑で難しい課題ですが、それをやっていかないと高知の川に明るい未来は少ないのでは?と思っています。

先日、このニュースの放送後に、知人からある話を風の噂のように聞きました。 私の事を、あのよそ者がエビを採りまくるから禁漁になったんじゃ・・・というような内容だったようですが・・・
これでは・・・なかなか根の深い問題だなと・・・難しいですね。問題定義するのも億劫になってきてしまう気持ちもありますが、ブレずに、川の為に頑張らないといけないと思っています。

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