四万十川は日本最後の清流と呼ばれています。 美しい川です。素晴らしい川です。 近年は行政も四万十川の本流は工事をあまりしなくなってきているようです。四万十川を守ろう、という意識が行政にも出始めて、川を健全にする方向で動きはじめそうな気配はあります。 昨年国交省の署長さん以下重要メンバーとの対談を四万十川中央漁協、青のり組合でさせていただきましたが、そのようなお話でした。でもですね、私からいわせたら、それはうわべだけであって、根本ではない!と言ってしまったんですが、確かに四万十川本流を守るのが最重要課題なのですが、その支流、そのまた支流、そこに流れ込む水路、などにはまったく考えがいってないのです。
四万十川に生息する沢山の魚族達。代表的な魚の中にウナギ、がいますね。最近ウナギが絶滅危惧種に指定されたりと現代は悲しい状況です。このウナギに絞ってお話させていただくと、ここ四万十川でも昔を知っているおんちゃん達の話を聞いていると本当に少なくなってしまったんだなあ・・・と実感します。ウナギが減った原因の一つにコンクリートの護岸がいけないということを今年になってようやく行政が認めました。が、しかし、私達漁師はほぼ毎日川に携わって川を見ている、いわゆる現場の人間なのですが、コンクリートと同じようにウナギに良くない要因が沢山見て取れます。 たとえば土砂。これは砂利を採ったり色々川をいじくった結果、または流域の原生林を植林に変えて作業道をどんどん付けて雨の度に土砂が流出したり、必要も無い砂防堰堤を必要ない場所に無駄!!に造ったり、いろいろな所業の結果、どんどん土砂が川に流入して川の石を埋めてしまいます。 こまかい砂が石の間に詰まってしまいます。ウナギは本来、石の隙間などの隠れ家を住処にします。それがどんどん消滅してしまうわけです。人間だって家がなければ繁栄できないでしょ?
それに、この土砂、川底の砂利の隙間からこんこんと湧き出る湧き水、川の伏流水も遮断してしまいます。まさに天然のセメント。流域の人口が増えて排水が川に流れ込むのが多少増えたって、この伏流水が豊富なら、どんどん川を生き返らせ、きれいにして再生していけるというのに・・・
更に、ウナギは四万十川本流だけに生涯暮らすわけではなく、その支流、そのまた支流、そこに流れ込む田んぼの水路みたいなところまで移動して大きくなっていくようです。しかし、この支流、またその支流や水路には、行政はまだちっとも自然保護の眼を配っていません。細かい水路、田んぼの水路、ことごとくコンクリートの三面張りです。文字どうりコンクリートの溝ばかり。実はここが生命の源、ウナギなどはこの無数にある水路にまで遡上して生活範囲を広げるのに、コンクリートの水路では隠れ家が無い、餌もない、結局膨大なウナギをストックできる住処を奪っているのです。それにこのコンクリートの水路、生活排水が流れ込むとほとんど自然浄化されずに川に流れ込みます。もしこの水路が泥底で沢山の水草や葦などで覆われていたら多少の生活排水などは川に流れ込むまでに栄養たっぷりの水となって浄化されちまうんです。わかりますよね、 このコンクリート張りの水路はいけません!本流にコンクリートは使わない、というところまで行政の意識が上がってきたのですから、ぜひともその先の水路までの目配り、意識をお持ちいただきたい、ね、国交省様。 どうしても公共事業で工事が必要なら、コンクリート水路をぶっ壊して石組みの水路に変えるために税金を使うとかってしたら川にはいいんですよ。
四万十川本流が人間で例えると動脈、静脈なら、田んぼの水路は毛細血管ですよ。この毛細血管が酸素を体の隅々まで運んでくれて健康でいられるんじゃあないですか!今の川は動脈と静脈しかケアしてない、そんな状態です。
ちなみに写真は青のり漁用の船着場の上流にもともとあった自然の状態の水路をコンクリート張りにわざわざされてしまった為に、大量のにごり水が雨の度に流れ出して青のり漁に打撃を与えています。手前のにごり水がコンクリート張りにされてしまった水路からのもの。沖の川の色が本来の四万十川の雨のときの濁りです。この濁りの中の青のりの中で沢山のウナギの幼魚(シラスウナギ)が死んでいました。おそらくは出来たばっかりの水路からコンクリートのアルカリ性だかなんだかののなにか悪いものでも出てるんでしょう。・・・・・結局本流をいじらなくたって流れ込む水路をいじったら駄目なんですよ!
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