四万十川の天然うなぎ 9月いっぱいで高知県は天然鰻の漁が終わってしまいました。四万十川の天然鰻も来年までお預けでございます。

今年も四万十川の天然うなぎ漁 なんとかやりきることができました。

天然鰻を仕事として追うのは年々大変になってきているような気がします。

仕事の量としては、相当な負荷を体にかけることになるので一年一年歳を重ねる度にしんどさも増していってます。

昔の四万十川のように桁外れの豊かさがあったならもっと楽なのですがね。

それでも国内の他の河川に比べれば、まだまだとんでもなく豊かな川ですので、やれるうちはやりきりたいところですが。

高知県は数年前から鰻に禁漁期間を設けました。

理由は産卵に海に下り、マリアナ海溝の方まで行く親うなぎを保護して、資源回復を狙う。というもの。

なんかこじつけっぽい理由です。

本気で保護するなら川に上がってくる子供の鰻が先でしょうが、鰻産業は大きいのでそこには手をうてませんから、しかし、何かしないと批判されるだろうし、みたいな感じで産んだ卵や稚魚が日本に帰ってくるかもわからない親鰻の保護、となるわけで、その背景には既に専業の川漁師がほとんどいなくなった業界だから何でもできるお役所仕事ってところではないかと推察しておりますが、どうでしょうか。弱い所なら同意もなく規制できるんでしょう。

年々川漁師を取り巻く環境は、行政、自然と悪くなる一方で生活に響き困るのですが、、、

ま、それはさておき。

四万十川の天然鰻漁の期間は4月から9月となっており、まずは4月は延縄からスタートです。

5月に入るとコロバシと呼ばれるウナギの筒でも獲れ出し、6月、7月と自分はみっちりコロバシ漁で四万十川の本流、支流と東奔西走で仕掛けていきます。

特に支流に仕掛けるのが体力を必要とし、重たい仕掛けを持って険しい谷底まで崖を降りたり登ったりの繰り返し。

重い仕掛けが両肩にのしかかり、足腰も限界に。

八月からは本来なら10月に最盛期を迎えるけれど規制により9月までのイシグロ漁の準備に入ります。

川底に結構な穴を掘り、これがまず肩、背中がパンパンになってきますが、その後に大きめの石を川のあちこち石のあるところへ船で移動しながら石を集め、一つのイシグロに数百個の石を積んでやっと一個のイシグロ仕掛けが完成。

これをいくつも造って、台風などの大水を待ち、水にのってやってくるウナギの棲みかを造っておき、水が引いたら石を崩してウナギを捕まえていくというもの。

天然ウナギ漁の終盤で一番きつい肉体労働、今まで相当な疲労がたまっている所から、更に川底で土木作業をやるようなもんですからね、しかも流れに逆らい。

今年52才 もうすぐ53になるのにこの頃には肉体は毎年ブルース・リーのように笑

しかし、昨年、今年と、台風の雨が多すぎて約1ヶ月かけて造ったイシグロ全てが土砂の下に。完全に無くなってました。

この時の落胆たるや凄まじいもんで、血を吐く思いで毎日毎日造った物が一瞬でパー。

もちろん稼ぎもナッシング。

それでも落ち込んでるわけにはいきません。水が引ききる前の冷たい濁流に流されそうになりながら入り、できる限りのイシグロを復旧させますが、全体の4分の1もやりきれませんでした。

高知放送と国交省の四万十川水族館の撮影が控えていたので焦りましたがなんとかそれも形にできて、最後の悪あがきで諦めずにやりきり、燃え付きました。

また来年まで一番得意で大好きな四万十川の天然うなぎ漁ができないと思うと寂しくて仕方ないですが、また時期時期による次の漁に気持ちを切り替えていきます。

高知放送さんのニュースのリンクを貼っておきます。こちらをクリック

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