四万十川 川漁師の休日。そして四万十川、汽水域の実力

川漁師っていう仕事は、漁が無いときは徹底してお仕事がありません。かといって、いつもだらだらしてるわけもなく、漁具の手入れや、次の漁の準備などでいつも、こいそがしい のです。

しかし、予定の漁ができないとき、今回の場合は、冬の主な漁であるスジアオノリが予定どうりに生育してくれなくて、準備もある程度終わってるし、あとは待つだけな状態なもんだから久しぶりに思いっきり暇を持て余してます。

ただいま満月。これじゃシラスウナギもあてにならんし、暇で暇で仕方ないのでちょっくら重い腰を上げてみました。

川漁師になってからは、仕事で年中、捕獲欲が満たされてしまっているせいか、以前のように目を血走らせて本気で釣りをすることがめっきりなくなりました。以前は、朝一の、それも一時間の時合いの為に、往復600キロ走るなんてのは朝飯前でしたし、国内だけでは満足せずに、海外の秘境に棲むモンスターを求めてあっちこっち行ってたんですけどねえ・・・現在はホントにやらなくなりました。それはそれで寂しいことですが、あんまり本気になれないし、また、昔からいつも困難な釣りを好む性質上、今まで熱くなっていた自分の釣りのスタイルをすることが、心底面倒というか・・・それとも中年もいい年になって老け込んでしまったのか・・・いけませんねえ、こんなことじゃ・・・

釣りへの情熱を取り戻したいなあ・・・

家からほとんど5分以内に良いフィールドがあるのに、暇なのに行かないなんてもったいないので・・・今回は物置から適当に使っている道具を引っ張り出して川へお散歩に行ってみました。

まずはいつものように川を見て歩きますが、やっぱりルアーロッドを片手に歩くといつもの漁の時とはちょっと違う感じ。冷たい北西の風に吹かれたせいか、ストイックな感じがしてきて久しぶりにちょっと燃えてきた。

目の前の四万十川は、川底の形状、現在の潮による流れの変化、全部頭に入っているので、おそらくこのタイミングならこのあたりが一番かな?などと見当をつけて、まずは第一投。

何事もなくルアーは手元までスイスイ泳いで戻ってきた。今度はちょっとルアーをトレースする方向を変えて投げた。一投目の感触からよりボトムを意識してリトリーブしたら、いきなりグワンってひったくってきた。

首を振ってる感じから魚はでかそうだ。シーバスのような感じでは無い。一瞬鯉でもかけたか?って思うくらいだったが、この場所で鯉ってのもないかな?なんて考えながらファイト。しかし、寄せに入ってから突然ものすごいダッシュで底めがけてジーっと一直線にラインを引っ張り出して、ドラグが悲鳴を上げた。この走りでもしかして?これは高級な奴か?と思ったので気合を入れ直してファイト続行。しかし底に貼りついたような感覚で重くてなかなか姿を見せてくれない。雨後の濁りの水中から一瞬見えたのに、あれ?エイか?とおもって一瞬がっかりしたのも束の間、水底からワッと浮上してそのでかい姿を水面にさらした!それを見て俄然興奮!絶対獲りたい!!そう思ったとき、傍から見たらもしかしたらへっぴり腰になってたかも?? 浅瀬に引っ張り上げてエラブタに手を突っ込んで無事ランディング成功。しかし、口元のフックは、たった一本、皮一枚の状態。これ獲れたのはラッキーだったかも。あ~良かった、と心底安堵したら、久しぶりに興奮したのかガラにもなくちょっと指先がプルプル震えてるし・・・いやぁ、久しぶりに釣りで興奮できました。

このあともう2匹追加したところで釣り終了。なかなか久しぶりに楽しい一時でした。たまには釣りもいいね、ま、心に余裕がある時でないと楽しめないかもだけど・・・

それにしてもこの四万十川っていう川はすごいと思いますよ。汽水域に日本で一番沢山の魚種が生息しているそうですし、川なのに、最下流の岩場にはクエまで棲んでいるんです。潮の状況によってはスマガツオも入ってくるくらいですし、塩分濃度は外洋より明らかに薄いのに、豊富な川の栄養分を求めて沢山の小魚が集まるので、それを追っかけている数多くのフィッシュイーターが河川内に乗り込んでくるわけです。

四万十川の広大な汽水域、素晴らしいのは上流、中流だけじゃありません。実は下流域の、この広大な汽水域こそが四万十川の生き物たちの原点であり、彼ら生物のゆりかごなんですよね。健全な下流域がある川は、素晴らしい川なんですよ。だって下流ってのはどこの川でも汚れてダメになってしまう部分なんですから。四万十川の魚や甲殻類は、この汽水域で育まれ、大きくなっていくのですよ。栄養分豊富で汚染されていない水が沢山の微生物、プランクトンを育み、それが全ての四万十川の生物を支えているのです。

ともすれば、どんどん開発されていきやすい下流部。私たちは本気で守らないといけません。全ての情熱を注いでこれを守る。これくらいの思いが私にはあります。なかなかなんだかんだでうまくいかないけれど、諦めた時は終わりです。

これからも下流域の、生き物たちの生命の原点を残していくように呼びかけていきたいですね。

 

 

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