数日前の寒波と雪の影響により、くすぶっていた四万十川の天然スジアオノリが急に成長し始めて、ようやく本日漁の解禁となりました。ここ三年連続、青のりの成育が例年より一ヶ月以上遅れており、12月中旬には漁の段取りをほとんど終えて後はスジアオノリの成長を待つばかり・・・の状態からほぼ一ヶ月半・・・まちかねましたよ。しかし、寒波の後に温かい気温になっていき、尚且つ大潮のタイミングで今年も例年より高い海水温が大量に川に逆流してきたせいか、アオノリの成育が三日ほどの間に著しく悪くなり、今日の段階でアオノリのせっかく成長した長い部分が弱って切れてしまい、短い弱ったアオノリだけが残っていたという悲惨な状況でした。
当然漁になるはずもなく・・・・・・・
地元高知の放送局だって3社も駆けつけてくれて今回の解禁のニュースを広く世間に広めてくれるはずだったのに・・・・・・・・・
水揚げにならない、弱った、短いアオノリが少しだけ採れただけで・・・・・・・・・
嬉しいニュースのはずが、四万十川のスジアオノリが芳しくない、という形のニュースになってしまいました。これは本当に悔しいことです。
毎年毎年、スジアオノリの漁のスタートが遅れている現状、これにはいくつかの要因があります。まずは海水温の異常な高さ、これは大きな要因ですね。温暖化の影響か、暖冬傾向にある気候、これももちろん問題です。
しかし、昔のように四万十川の河口に砂州が横たわり、急激な潮の干満を調整してくれていた頃と違い、砂州が壊されてヘンテコな堤防だらけの今の四万十川の河口からは潮がものすごい勢いで上がってくるし下がっていきます。そうです、遮るものが無くなったのですから、それこそダイレクトに潮の影響を受けるのです。昨日なんか船の下をボラの群れを追っかけていく80センチくらいの真っ黄色な側線を持つ魚が泳いで行きましたし、アジのような魚も群れで泳いでいました。真っ黄色な側線を持つ大型のフィッシュイーターといったら、回遊魚の青物しか思いつかないんですが・・・・。川の中をですよ・・・・・・・・
大潮の満潮時にこのような現象が起こるということは、相当塩分濃度だって濃いのでしょうし、ノリが生きていくことがもたなかったんでしょうね。
上流にある四万十川支流のダムから放水をしたことが4年ほど前にあったのですが、その時は山のダムの冷え切った水が常時流れ込んでいたせいなのかビックリするくらいの成長をしたことがありました。
ダムの放水の期間が終わるとともにノリも弱っていった記憶があります。
もっと四万十川に冬でも水量があって、尚且つ上流からの冷たい水が流れてくれば、多少高い海水温だって相殺するくらいの効果があってノリは成長していくはずなんです。一昨年も昨年も一月下旬に降った雪の後にグンと成長していったのです。 同様に海水温は高かったけれど、ノリは伸びたのです。これだけ雪代の冷たい水の影響が海水温の高い時期には有効なんだということが現場では実感しているのですから、実験的に冬の間に上流域の支流のダムを放水してもらうとか考えたらいいのにと思うのですが・・・ 四万十川のスジアオノリは高知県が全国に誇る貴重な素晴らしい財産なのですから、県なども学者の意見だけでなくて現場に毎日出て肌で実感している私たちの意見をもっと聞いてくれたら四万十川は良くなると思うのですがね。四万十川には、毎年、青のりの種は確実にできているのです。後はそれを成長させてやるための環境づくりを考えていくことなんです。自然のものですから太刀打ちできない部分は沢山あるけれど、例えば先のダムの放水などほやってやれないことではないと思うのですけれどね。それがエビデンスとしてどうなのか、試験的にやってみるとか、もっと前向きに考えてもらいたいものです。
四万十川のスジ青のりは、もう一回言いますが、高知県が全国に誇る素晴らしい生産物なのですから。
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