今日は日本を爆弾低気圧なるものが襲ったということで、ここ、南国土佐、高知の端っこの四万十市でも物凄い吹雪になりました。
四万十川に流れ込むワンドから伏流水が湧いている場所があり、そこは通年水温がほとんど変化せず、夏は川の水温が上がる時には冷たく、
冬の水温が下がる時には温かく、魚たちのオアシスのような場所になっています。
落ち鮎達も、やはり本流の水温は冷たくて居心地が悪いのでしょう。
このワンドの中に入ってきます。それを知っているのは、私たち漁師と、シラサギやゴイサギなどの水鳥達。
それぞれ、あちらこちらでじっと待ちつくし、いつ起こるかわからない水中からの鮎の群れのサインである水面へのハネ、を探します。
シラサギが先に場所取りして、じっとまっている所に近寄ると、彼らはあからさまに怒りをあらわにしてギャーギャー大声をあげて、場所を後から取られたことに
抗議します。そして嫌がらせのようにアユの群れの上を低く飛んで逃げて群れを散らすのです。
みんな寒い中必死で獲物を追っています。 今日のように吹雪になると、川辺で杭になったようにじっと待つのはなかなかキツイことです。
まして、ひっきりなしに素手に雪が落ち、そこへ氷点下の強風が吹きつけます。
網を投げるのに手袋はつけられません。もはや凍傷にかかりそうなくらい冷え切ってしまいます。
見る見る雪は積り、あっという間に真っ白になります。私は実は雪が大好きです。しかし、やっぱり寒さには弱くなりました・・・
一時間に一度位の割合でアユのハネが現れます。まさにワンチャンスなのです。その群れをとり逃がすと、次はいつハネが起こるかわからないのですから。
もういやだ、寒くてたまらない、帰ろうと思った途端に新たなハネが現れるもんで、それでなかなか帰れなくなってしまいます。
この仕事、好きでなけりゃあ、やってらんない。好きだから、体はきつくても心は満たされています。
雪景色の中での落ち鮎。とても綺麗です。産卵のためにオレンジ色に色付いた、はかない化粧を身にまとって、雪の中の精みたいでした。
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