今回で川漁師として四万十市の各小学校での川漁師授業も三回目になりました。まずは、この土地柄、ってことで、そもそも小学校で川漁師授業ってのがあることが素晴らしくないですか?
これも四万十川によって育まれてきた歴史を持つ、中村 という街ならではの事でしょう。しかしですね、実は私がこちらに来てから少し驚いたことがあるのです。それは、かの有名な四万十川のほとりにある街の子供たちが、ほとんど川のことを知らず、また、そこに住む豊富な生物に対する知識も少なく、なにしろ川で子供が遊んでいないんです。むしろ県外から移住してきた我が家の息子の方がよっぽど川や生き物に対する知識が豊富で、地元の同級生に川の先生なんて呼ばれたくらいでした。
色々ある原因の一つには、その子供たちの親の世代からの川離れにあります。 こちらは結構な割合で共働きでありまして、子供だけで川に遊びに行かせるというのが危ないからか、子供たちが川から自然と離れていってしまう感じになっており、それにより川への知識や思い入れが少なくなっているように感じます。それとあまりにも四万十川が身近すぎて普通になりすぎてしまっているから特に休日に川へ出かけない、ってのもあるかもしれませんね。
昔は川遊びする子供たちにルールがあって、子供たちの年長者が、必ずちっさい子供の面倒を見ながら川で子供だけで遊んでいたそうです。それにより、皆、子供たちが川の危険な場所や、やってはいけないこと、などを自然に覚えていき、子供たちが川で事故に遭うことなんて皆無だったということです。
子供たちは今も昔も本質は変わりません。ゲームばっかりやってる子だって、川に行って水の中の小魚を見せれば、きまって追っかけ始めます。そして川の水の温度、風の香り、周囲の山々の緑、宇宙まで抜けるほどの高知の真っ青な青空、こういったものを感じて、人間としての豊かな感性を身につけていくのだと私は考えています。
事実、教室で川漁に使う漁具を見せながら魚の話をはじめると、子供たちはみんな一斉にキラキラ輝き始めました。
今回の授業は一度では終わらずに、今年度に二回三回と続けて行くそうですので、今回の授業では次回までに子供たちへの宿題を出しておきました。
それは、これから四万十川の生き物、川を守っていくためにはどうしていったらいいですか?というような内容でした。
今から次回授業での子供たちからの答えが楽しみでなりません。
また、こういった取り組みを行っていくと決断された学校の職員の皆様には本当に感謝の気持ちでいっぱいです。教員の方々も昨今の四万十川の荒廃ぶりに嘆かれており、是非次の世代の子供たちに伝えていかねば、という意識で皆様とても素晴らしいと思いました。
四万十川がすぐそばに流れる街、四万十川があることが、あたりまえじゃないんだ、皆で大事にしないといけないんだ、ということを伝えていけたらな、と思っています。
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