四万十川の水域で採れるモクズガニ、こちらではツガニと呼んでいます。8月に入ると漁の始まりです。四万十川水系では、10月いっぱいまで採取捕獲が可能です。
綺麗な水に住むツガ二は、調理するとちゃんと赤くなってくれるので、汚い水域で捕獲されたものはあまり赤くならないためにすぐにわかります。
このカニは、いわゆる上海蟹と同族であります。上海蟹は高級食材として有名ですよね。
しかし、考えてみてください、上海の川は綺麗なのでしょうか?高知の清流は日本でもトップレベルです。
同族ならば、高知のカニに軍配があがると思いますよ。なにせ、やっぱり魚貝類は水質が命。味だけでなくて、健康を考慮しても水質ありきな食べ物ですよ。
このカニ、ミソが物凄いコクと旨味でたまりません。
メスは秋が深まってくると卵を持ち、それを(内子)と呼びます。赤に近いオレンジ色の内子に、黄金色のミソが絡みあって・・・・・・・・・・
これは絶対ビールよりは焼酎、もしくは辛口の日本酒の大吟醸。きりりと冷えてドライな白ワインかシャンパン、といったところでしょう。
モクズガニは捕獲後に清らかな水で少し飼ってやり、餌にかぼちゃを与えます。するとカニのミソがどんどん黄金色になり、ほっくりとした甘味とコクが加わるのです。
シンプルに塩茹で、もしくは蒸し上げたカニの甲羅をおもむろにむしり剥ぎ、中身の黄金色のミソから、かぐわしいモクズガニ独特の香りと湯気が顔をホワっと包み込むのです。
メガネをつけていたらたちまちに曇ってしまうでしょう。五里霧中、恍惚となって香り立つホカホカのミソ目掛けてしゃぶりつく!
うぅ、とか、あぁ、とか、とにかく感歎詞を呻くことしかできない。
次から次へとしゃぶる。しゃぶる。しゃぶる。霧中。もう、視界には黄金色のミソしか目に入らない。
口の周り、指先など汁やらなにやらで濡れ濡れのベタベタ。指をしゃぶる、カニの脚を折ってしゃぶる、手の甲で口を拭ったら、ベトベトの指でグラスに手をかけ濃厚なコクを切れ味抜群の酒で流す。
またしゃぶる。むしる。折る。しゃぶる。舐める。その繰り返し。
こんな食の本能丸出しで我を忘れる時間はツガ二がないと始まりません。皆様、ぜひやってみてください。
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