九月の終わりにテレビ東京の番組 世界ニッポン行きたい人応援団 の取材を受けました。
わりと急なオファーだったので、この時期に威力を発揮する漁法のイシグロというのを自分の分は水揚げしてしまっていたので、友人に頼んで友人のイシグロで撮影をしました。
イシグロというのは、川底に穴を掘ってそこに大きめの石を積み上げ2週間ほど放置してウナギが住処として入り込むまで待つ漁法の事で、急に作っても期間がない場合は採れる見込みがないのです。
大雨が降って増水しないとなかなかウナギが移動して入り込まないことから、とてもタイミングが重要な漁で、雨がずっと降らないときには何週間放置しておいてもごみが詰まるばかりでウナギはあまりとれません。
また、雨が多すぎて大増水によって埋まってしまったり、石自体が流れてしまって、苦労して沢山作ったものが全部だめになる、なんて事もしょちゅうです。
まったくもって自然次第の恵みの頂戴の仕方であり、原始的な漁なのですが、秋になって下ってきたウナギたちにはこれが一番効き目があります。
同時に私のもっとも得意な漁法のコロバシ漁といってウナギ筒を仕掛ける漁法もやりました。この時期に確実に捕獲するにはなかなか苦労するのですが、仕掛けには小さいものも含めて百発百中という充分すぎる結果を出せ、また、撮影の見どころも多かったはずなんですが、ディレクターさんの価値観が自然の漁の難しさとか、四万十川の素晴らしさということよりもバラエティーに特化する考え方だったのでしょうか?全部使われていませんでした・・・
頼まれて苦労してやったので少々腑に落ちないというか、残念だった、というか、私も英語が少々喋れますから、外国の方としっかり意思疎通しながら,この美しく世界的にも貴重な生態系の宝庫の四万十川を舞台に素晴らしい漁ができたのに、別の番組ならとても貴重な映像だったのになあ、と思うと重ね重ね残念でした。ま、いたしかたありませんね。
この時期の四万十川の天然鰻、特に下りウナギは絶品中の絶品。漁果の中から良いものを選りすぐって我が家の庭でバーベキュー。徹底的においしく食べてもらいましたよ。こんな味の濃いウナギ食べたことない!と顔を真っ赤にして興奮して、プー!っとかフー!っとか言いながら首をふりふり感動していました。ここでの撮影はばっちり番組でもオンエアされておりましたね。
ポーランドからの彼は、ミハウといって、大学の講師で英語も堪能な上に日本の寿司文化やうなぎ文化に大変研究熱心な男で、今は良き友となり、しょっちゅう情報交換する仲になっています。
取材の上でいつも私は四万十川のためなら全力で協力するのですが、今回は本当に素晴らしいものをお見せできていたからこそ、自分としては少々・・・な取材結果になってしまいました。
先日、さいたまに行ったときにこの取材でウナギ料理を担当された浦和のうなぎ屋、むさし乃 に番組で知り合った外国人スタッフと合流して行ってきました。いうまでもなくこだわりぬいているお店で、尚且つ親方ひとりでしっかり調理されているので、さいたま滞在中に二回訪れましたが、二回ともしっかりと同じ味で仕上げられており感服いたしました。とても気さくな親方で、調理場に招き入れてもらったり、楽しいひと時を過ごせました。
この番組はネット上で閲覧できるようなので、ご興味があればググってご覧になってくださいませ。
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