本年度、すじ青のりは全国的に大不漁でありました。タンクなどで養殖している人工的なものは生産が可能でも、河川において採取するものは養殖も全然ダメだったようです。
ここ四万十川も一昨年同様、冬のすじ青のりは壊滅でした・・・全く水揚げがありませんでした・・・
色々干し上げる為に施設を造ったり、準備しておいても全く採取できないようだともう漁師の仕事としては成り立ちません。
そんな中、数日前からほんの4日間程すじ青のりが採取できました。通常なら2か月から3か月間採取ができる水産物です。それが4日。しかもとても少量。
繊維の細さはクモの巣のような、口に入れたら溶けていく素晴らしく薫り高い良質の青のりでした。
しかし、すじ青のりに関わる業界では市場の原理とは真逆の動きがありまして、収穫量が少なく安定供給できないから価値がない、と訳の分からないことを言います。
それで物がたいしたことないのであればそれもわかります。しかし、これは年々採れなくなっていて、市場から消えてしまっている貴重な四万十川の天然すじ青のりですよ。
業者に私たちの持って行った10キロほどの四万十川の天然すじ青のりの束から香り立つ、まさにその香りは、その時丁度、他の産地のすじ青のりがトラック一台分納入されてきたのですが、トラック一台分のその香りをたった数束の青のりが消し去ってしまうほどすごいのです。お話にならないほどの差があるのです。
それを知っている超一流の料理人の方々は本当に欲しがってくださりますが、流通の段階で何段階も業者間を流れ、粉にされたり、加工されたりで、本当の本物が全く出回らないのです。
こんなことでいいのでしょうか・・・すじ青のり 四万十川の天然すじ青のりの凄さがもっともっと知られていいと思うのです。
かつては50トン程の漁獲を誇った四万十川のすじ青のり。ここ数年は1トンから数百キロ、今年に限ってはおそらく30キロも無いでしょう。
市場の原理通り、最上級の物が幻級に減っているのですから値段も上がらないといけないと思うのです。
なんとか、これを、この現実を世に知らしめたい・・・
もうすじ青のりをあてにして漁業を営むことはむずかしくなってきました。わたしもいつまでやるか・・・もうわかりませんね・・・
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